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内モンゴル・ドルン | この夏、草原で雲を追いかける旅へ

雲を追いかける方法はいろいろあるけれど、その前にまず必要なのは――一面に広がる草原。場所は呼倫貝爾でも、新疆アルタイでもなくていいのかもしれません。「北京の真北、最も美しいのは多倫」。北京から直線距離にして約180km、この多倫には、まるで夢の中から切り取ってきたような草原があります。

多倫県は、内モンゴル自治区・錫林郭勒盟の南東端に位置し、背に草原、目の前に京津エリアを望む場所。「坝上古城・草原水郷」の名で知られています。ここは、雄大な自然景観と奥深い歴史が溶け合う辺境の小さな城下町。エコツーリズム、文化探訪、リゾート滞在がぎゅっと詰まった“宝箱のような目的地”です。
ここでは「草原=牧草と牛羊だけ」というイメージはあっさりと覆されます。水辺には古刹の屋根が映り、砂地には果てしない榆林が広がり、晋商の票号(両替商・金融機関)の建物では、今も300年前の帳簿の気配を感じることができます。歴史を辿りたい旅人にとっても、自然に抱かれたい人にとっても、多倫は“小さいけれど奥行きの深い”底力で、予想を超える塞外の旅へと招いてくれます。

多倫 草原風景.png

【7月は草原がいちばん美しく、心がいちばん解き放たれる季節】

夏の草原 雨上がり.png

一陣目の豪雨が大地を叩き
馬蹄が水たまりを跳ね飛ばし
雷鳴と馬頭琴の音色が共鳴するとき
草原は世界に向かって高らかに告げる
「生命の祝祭の季節が
いま始まった」と

【PART.01 荒野で雲を追う まだ手なづけられていない野性の記憶】

草原という場所は、「果てしなさ」という言葉をそのまま視界に刻み込んできます。ここでは地平線という境界が消え、見渡す限りの草のうねりが、緑の海のように空のふちまで広がっていきます。この遮るもののないスケール感が、街や路地の狭さに押し込められていた感覚を、すうっと解き放ってくれるのです。
追いかけるのに、草原ほどふさわしい場所はありません。まして、あなたの“獲物”が、風にかたちを変えるひとつの雲だとしたら。雲を眺めることは、心にかかった力みをほどく、小さな解放の儀式でもあります。

草原 雲を追う.png

【青いハタ 山頂のオボーと草原をめぐる九曲十八弯】

モンゴル族がこよなく愛する色――それが「青」です。その源には、「長生天(永遠の天)」への信仰があります。果てしなく広がる青空は、清らかで美しく、永遠に澄み渡り、その偉大な力で草原のあらゆる生命を見守っていると信じられてきました。だからこそ、モンゴル族は自らを「青の民族」と呼び、青をもっとも神聖な色として敬ってきたのです。

もし現地の人から青いハタを手渡されたなら、それは“自然そのものの力”から祝福を授かった証でもあります。
その自然のエネルギーを全身で感じたいなら、草原のオボーは欠かせない場所です。モンゴルの信仰において、オボーは単なる目印ではありません。道しるべであり、祭祀の場であり、さらには天地のエネルギーが集まる“結節点”だと考えられています。
草原では、漢民族が山麓の土地神を祀る廟に五穀豊穣を願うように、牧民やモンゴル族はハタを結び、牧草の豊かさを祈るのです。

多倫の瑪瑙山から九曲十八弯を見下ろすと、曲がりくねる川が、まるで液体のブルーシルクを草原に敷き詰めたかのように広がります。蛇行する川筋は、草原にやわらかな曲線を刻み、“大地の掌紋”のような生態の模様を描き出します。山肌は急峻でありながら、視界は大きく開け、草地はなだらかに起伏しています。
朝もやが立ちこめる時間帯には、川のカーブが霧の中にぼんやりと浮かび上がり、まるで異世界の風景のよう。夕陽が傾く頃には、水面にいくつもの太陽が映り込み、「后羿が射落とした九つの太陽」の伝説が、ここでふたたび甦ったかのように見えます。草原一帯はたちまち、あたたかなオレンジ色のベルベットに包まれたような景色に変わります。

登山道を歩きながら足元に目を落とせば、天然の瑪瑙石を見つけることもあります。赤と乳白が織りなす模様は、まるで固まった川の曲線のよう。大地が旅人にそっと手渡してくれた“エコロジカルな御守り”のような存在です。
川が大きくカーブする場所では、牛の群れが首を垂れて水を飲み、その姿が水面に映り込みます。流れに揺らいだ影は、一枚の動く油絵のよう。茶と白の斑模様の蒙古牛たちが、草原に星を散りばめるように点在し、その首に下がったベルが、風に揺られてかすかに音を立てます。

TIPS.

草原 牛の群れ.png

風が草をなでると 牛や羊の姿が現れる――
けれどここでは、どうして牛だけで羊はいないの?
そう不思議に思うかもしれません。
実はこの一帯の草原は、一年を通して羊の放牧が禁じられていて、
6〜10月の期間にだけ、
斜面いっぱいに広がる牛の群れを見ることができるのです。

【PART.02 雲を追う それは馬の背に揺られる光と影の詩】

モンゴルの人々にとって、馬は単なる移動手段ではありません。チンギス・ハーンとその愛馬の物語から、現代のナーダム祭で活躍する“套馬手”まで、馬はつねに遊牧民の鏡のような存在でした。
モンゴルの精神地図の中で、馬は生きるための道具であると同時に、遊牧文明の記憶を運ぶ器であり、精神的なシンボルであり、ひとつの哲学でもあります。
草原で雲を追いかける旅に、馬以上のパートナーがいるでしょうか?

馬と草原.png

【馬とともに歩む 遊牧文化の血脈は今も生きている】

多倫県が属する錫林郭勒盟は、「中国馬都」と呼ばれるほどの馬の名産地。歴史的にも蒙古馬の中心的な分布エリアでした。清代、北方の商業都市として栄えた多倫(当時の名は「多倫諾爾」)には、馬具づくりの技が受け継がれ、1929年の記録では鞍づくりの店が23軒もあったと言われています。馬具文化は、暮らしの隅々にまで浸透していたのです。
そして今もなお、その“遊牧の血脈”は静かに、しかし確かに受け継がれています。

【馬上で風を切る この一瞬だけは誰もが草原の子ども】

浪駿(ろうき)牧場の魂とも言えるのが、いま全線開通に向けて整備が進む「環多倫300km最美エコ・ホーストレイル」です。牧場を起点とするこの環状ルートには、12カ所の駅(ステーション)が点在し、およそ30kmごとに休憩拠点が設けられています。道中には、「山・水・林・田・湖・草・砂」という多倫を象徴する七つの景観が凝縮され、榆木川の深い森から、湖面のきらめき、草原ステーションの大草原、砂丘のうねる曲線まで、一度の騎乗で草原のエコロジカルなパノラマを見ることができます。

伝統的な放牧馬である蒙古馬は、広大な草地を駆けることに適した馬種で、優れた持久力を誇りますが、安定した騎乗には長い訓練期間が必要です。
一方、浪駿牧場が導入し育成しているのは、観光・スポーツ・競技など多様なニーズに対応できる“ミックス血統馬”や“温血馬”。気候や環境への順応性、観光騎乗での快適さ、さらにはホーススポーツ産業としての可能性まで視野に入れたラインナップになっています。

たとえば、アメリカ式のカウボーイホースは、体格こそ大きいものの歩みは安定していて、馬術レッスンやのんびりとしたトレッキングにぴったり。錫林郭勒のポニー(モン・ポニー)は、コンパクトな体つきとおだやかな性格が特長で、子ども向けの体験やビギナーの騎乗にも適しています。
自分のレベルや目的に合った馬を選び、プロのインストラクターに付き添ってもらえば、未経験者でも安心して、多倫ならではのホース・トレイルライドの奥深さを味わうことができます。

さあ、軽く脚で馬腹を挟み、砂丘の方へ進んでみましょう。
前方では、榆木川沿いに立つ千年の榆の木が、雲を追う旅人にそっと木陰を差し出してくれています。

浪駿牧場 夕景.png

【PART.03 浪駿で“草原”という概念をアップデートする】

ここ浪駿が目指しているのは、「馬に乗って景色を見る場所」で終わらないこと。300kmのホーストレイルで、アメリカ西部のワイルドなスピリットと、モンゴルの重厚な遊牧文化を、ひとつの鞍の上で融合させています。
雷雨が通り過ぎた夕暮れどき、温血馬に揺られながらファームに戻り、スタッフから手渡される熱々のミルクティーを受け取る瞬間、ふと気づくはずです――本当の“荒野の精神”は、人気のない場所にあるのではなく、人と馬、旅人と土地、伝統と革新が交わる、その境界線で脈打っているのだと。

【馬と暮らす風景に泊まる ここでの一室は“草原文化のコンテナ”】

浪駿牧場の提携ロッジは、“馬”を中心に据えた宿です。内モンゴル・錫林郭勒の広々とした草原に根を下ろし、遊牧の民が何世代にもわたって培ってきた知恵とおおらかさを受け継ぎながら、アメリカ西部フロンティアの実用的で自由なスピリットもさりげなく取り入れています。

建物群は全体として高さを抑え、地面に沿うように水平に伸びています。まるで大地から生えてきたかのようでありながら、草原の果てしないスカイラインを邪魔しない控えめな佇まい。その一方で、深い庇や、プライベート感のある2階、広々とした1階の共用スペース、炎のゆれる暖炉が、いつでも旅人を迎え入れ、物語やお酒を分かち合う“オープンな空気”を醸し出しています。
それはまるで、カウボーイバーとゲル(パオ)が同じテーブルを囲んだような、自由でフレンドリーな空気感です。

牧野ツインルーム シングルベッド1.2m×2台 フロア〜天井窓/36㎡
もふもふペット親子ルーム ダブルベッド1.8m×1台 フロア〜天井窓/47㎡
沐陽ダブルルーム ダブルベッド1.8m×1台 フロア〜天井窓/36㎡
沐陽ツインルーム シングルベッド1.2m×2台 フロア〜天井窓/36㎡
牧歌ファミリールーム ダブルベッド1台+シングルベッド1台 フロア〜天井窓/36㎡
牧野ダブルルーム ダブルベッド1.8m×1台 フロア〜天井窓/36㎡
牧歌キッズルーム ダブルベッド1台+二段ベッド1台 フロア〜天井窓/47㎡

28室のテーマ客室は、自然のワイルドさと快適な滞在体験をシームレスにつないでくれます。どの部屋にも細かなデザインの工夫が散りばめられ、無垢の木の家具は素朴で力強く、手すりやパーティションのラインは潔くまっすぐ。アメリカン・ランチの豪快な空気が、さりげなくインテリアのディテールに溶け込んでいます。
フロア〜天井までの大きな窓の向こうには、果てのない牧草地が広がり、そのあいだを馬の群れがゆっくりと歩いていきます。遠くには榆の林と起伏する砂丘――ベッドに身を沈めたまま、草原の四季の移ろいを眺めることができるのです。
夜が深まり、部屋の灯りを消せば、頭上には天の川が流れ、無数の星々がこぼれ落ちるようにきらめきます。都市ではとうに忘れられた星空が、ここでは手を伸ばせば届きそうなほど身近に感じられます。

【必ず味わいたい牛羊肉と“食べるミルクティー”】

内モンゴルの食文化は、まさに“動く歴史書”のようなもの。ここで出会う料理を味わってこそ、この土地で育まれてきた暮らしの知恵と時間の積み重ねが、少しずつ見えてきます。
内モンゴルの羊肉は、柔らかくジューシーで、焼く、しゃぶしゃぶ、塩ゆで、煮込み、燻製、黄焖、紅焼、葱炒め……思いつく限りの料理法が、多倫では一通り揃っています。どんな調理法であっても、口の中にふわりと広がるコクと旨み。それこそが錫林郭勒産の羊肉が持つ、変わることのない魅力です。

内モンゴル 羊肉料理.png

他の地域では「一日三食」と言いますが、モンゴル族はしばしば「一日三度の茶」と言われます。彼らにとってミルクティーは、単なる飲み物ではなく、一種の文化であり、感情そのもの。
「一鍋のミルクティーでもてなす」のが、本来のモンゴル流おもてなしです。店で供される“蒙古鍋茶”は、まず昔ながらの方法でミルクティーをしっかり煮出し、そこに煮出したレンガ茶を加え、最後に牛乳を注ぎます。いただくときは、茶碗に注いだミルクティーに炒り米やチーズ、奶皮子(ミルクの皮)などをたっぷりと加えます。さまざまな食感と風味が折り重なり、一口ごとに内モンゴルの濃厚な風土が舌の上に広がります。

草原と雲 夕景.png

草原では――
一朶の雲を本当に追いかけて追いつくのは
たぶん難しい。
でもこの草原にいるかぎり、
あなた自身がここをさすらう
一朶の自由な雲になることは、
いつだってできる。
牧民たちにとってはごくあたり前の暮らしが、
遠く離れた都市の人にとっては、
憧れ続けてきた“詩のような日常”なのかもしれません。
この夏、誰がいったい、
草原と雲からのこの誘いを
断ることができるでしょうか?

正確な所在地

Ctripホリデーファーム
(多倫・浪駿牧場 提携ロッジ)
内モンゴル自治区 錫林郭勒盟 多倫県 蔡木山郷 一家河 Ctripホリデーファーム(多倫浪駿牧場 提携ロッジ)

アクセスガイド

【お車でお越しの場合】
錫林郭勒盟 → ファーム 約3時間
張家口 → ファーム 約3時間
北京 → ファーム 約6時間
赤峰 → ファーム 約5時間

【最寄り空港】
錫林浩特空港 → ファーム 約3時間
張家口寧遠空港 → ファーム 約3時間
北京首都国際空港 → ファーム 約5.5時間
赤峰玉龍空港 → ファーム 約5時間